2006年4月 1日 (土)

ブロークバック マウンテン【Brokeback Mountain】

Brokeback 2005/アメリカ/134分/監督:アン・リー/原作:アニー・プルー/出演:ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、ミシェル・ウィリアムズ、アン・ハサウェイ、ランディ・クエイド

「エポックメイキング」(←『ブロークバック マウンテン』のチラシに書いてあります)だ、何だと言われていますが、そこまで言わなくても良いのでは?だって、要するに、人と人との純粋な”愛欲”の伝記映画なんですから。だからこそリアリティも感じるし、共鳴できる。but!女性が見ても抵抗ないのですが、同性愛という題材に一般の男性の方々はどう感じるのか?興味があります。

同性愛の”カウボーイ(=アメリカ的男らしさの象徴)”という内容とゴールデングローブ賞ほかおびただしい程の賞を受賞しているので、米国アカデミー賞の作品賞レースで最も話題になったわけですが、結果的に作品賞を取れないのは仕方ない。同性愛に戸惑いながら淡々と愛を貫くカウボーイの姿を丁寧に描いている作品だけに、”アメリカのお偉い”アカデミー会員の最大公約数の票が取れると思えないですから、やっぱり。

東京の知人によると、未だ『ブロークバック~』上映館は混雑中だとか。オーソドックスな作品なのに、見終わって5日経った後でも反芻できる余韻の残る作品であることは確かです。女性である私が、男同士のHシーンにこれほどドキドキした事も初めてだし…。主人公2人の再会のディープキスのシーンには、2人の気持ちの高ぶりと抑えきれない衝動に泣けたし、その2人の”衝動”場面を見てしまい、愕然とする妻の気持ちにも泣けたし…。ヒース・レジャーがとにかくいい!最後のシーンは愛おしくなりましたよ。”カウボーイ(男らしさ)”の面目以前に、一人の人間としての愛を貫く強さと繊細さがヒシヒシと伝わってくる。役者はマジ頑張ってますよねぇ~、やっぱ、よく出来てます。鑑賞のお客の少ない時に、も一回、ジックリ見に行こう!

あ、もう一つ浮かんだ事柄→台湾出身のアン・リー監督だからこそ、固定観念などなく正面から扱えた題材であるけど、アメリカで映画を学んでその技術を培った監督だけに、映画そのものの作り方はとてもオーソドックスなメイド・イン・アメリカ作品です。【あゆ太郎のおススメ度=85点】

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2006年2月11日 (土)

ミュンヘン【MUNICH】

Munich 2005年/アメリカ/164分/監督:スティーヴン・スピルバーグ/出演:エリック・バナ、ダニエル・クレイグ、ジェフリー・ラッシュ、マチュー・カソヴィッツ、ハンス・ジシュラー、キアラン・ハインズ

やっぱりスピルバーグは信頼できる映画監督。世界で物議がおきる事を承知で制作した大作は、やはり、すばらしかった!『トロイ』、『ハルク』以来ファンになったエリック・バナが主人公っつ~のも、良かったっス。

1972年のミュンヘンオリンピック会期中に実際に起きた11人のイスラエル選手がパレスチナゲリラのテロリストグループに殺されるという事件がおきる。私より少し年上の人たちは、この大事件を克明に覚えている人が多い。実際にテレビで放映された映像が登場する冒頭に先ずゾッとする。(と、いうかオリンピック選手村のセキュリティの甘さとドイツ側の失策が惨劇を招いたとも仮定できる。サッカーワールドカップを控え、開催地であるドイツは心穏やかに見れるはずがない冒頭だ)この事件を機に、イスラエル機密情報機関モサドは報復としてテロリストグループ暗殺チームを結成する。

5人の暗殺チームはプロフェッショナルな暗殺チームと思いきや、対外的に暗殺チームとバレにくい面子。獲物を一人ずつ仕留めていくうちに、互いが決して精鋭といえないメンバーである事を知る。殺人という重い任務を背負った彼らが、国家のためと疑いを持たず行動する期間はあまりにも短かった。報復が報復をよび、自己が狙われるという恐怖・信じていた国家への疑心・自戒の念…主人公アヴナーを次々と襲う感情に自己を見失わなずに済んだ糸口は、アヴナーが帰るべく場所と思っている絶対的な存在、つまり妻だった。

暗殺チームの面々の立場も微妙に違うところがいい。主人公のアヴナーはイスラエルが建国された後に生まれ育った世代。親の世代は安住の地を持てず、ヨーロッパをさまよい、多くのユダヤ人がナチスの手に落ちた。アヴナーはいわば2世のようなもので、親の苦労を話に聞いているだけ。一方、運転手はアヴナーと同年代だけれども、存亡の危機にさらされた同族に対する想いが強い。年長者の2人は年上だけに、危機にさらされた時期を乗り越えてきた血の臭いが漂う。最年長で文書偽造のプロ・ハンスが、パレスチナ人をなりふり構わず何が何でも殺そうとするシーンは、ドイツ生まれのユダヤ人という設定だけに、彼が過去に受けた経験が怒りとなって爆発したものだと思う。

情報屋にハメられ、敵側と身分を隠し、同室で寝ることになったアヴナーがパレスチナ人青年に聞かされた言葉「自分たちの国が欲しい」は、アヴナーの親の世代が語っていたセリフだ。ユダヤ人がイスラエルに入植し、玉突きで放浪をやむなくされた彼らの存在が決定的にアヴナーの心理を変えていく。何度思い返しても、ホントに、よく出来ている。アカデミー賞や前哨戦のゴールデングローブ賞で正当な評価を受けて欲しいものだ。(アカデミー会員は、授賞式をテロに狙われる危険性を避けるかもしれない)

ちなみに、うちの旦那と一緒にこの作品を見たのだけど、中盤からずっとダンナがイライラすると出るクセ→利き手じゃないほうの爪を掻きむしっていた。ダンナ曰く「出口が見えなくて、辛かった」と。そう、出口が見えないからこそ、作品を観た1人1人が思考し、それなりの行動すれば、少しは明るい未来が見えるのではないか?やはり、スピルバーグは21世紀を代表する偉大な映画監督なのだ。【あゆ太郎のおススメ度=85点】

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2006年2月 8日 (水)

世界【世界】

Sekai 2005年/日本・フランス・中国/133分/監督:ジャ・ジャンクー/出演:チャオ・タオ、チェン・タイシェン、ジン・ジュエ、シャン・ワン、リュウ・チュエン、ワン・ホンウェイ、リャン・チントン

近代化の波に飲まれている中国を憂いて『単騎、千里を走る。』を制作したチャン・イーモウ監督、ぜひ、あなたの後輩が監督した『世界』をご覧下さいナ。ネガティブキャンペーンじゃないけど、「今、そこにある問題」に目を向けたほうが人の心に訴えやすいと思いますよ。時代の波に飲まれ、もがき苦しむ若者の姿が・痛みが彼らと同じ視点でスクリーンに描きだされた傑作!

今年は映画の当たり年。年頭から良質な作品が次々と公開されて、映画ファンとしては喜ばしい。この作品もその1本。たぶん私の2006年外国映画ベスト5入り間違いなし!

近代化の波が押し寄せる中国。北京郊外に実在する「世界公園」は、世界じゅうの名所100以上を縮小して再現したテーマパーク。(さすが、コピー王国!)観光スポットとして人気のあるそのテーマパークで、踊り子として働くタオが主人公だ。タオは年下のダンサーから「姐さん」と呼ばれ、多くの同僚からシッカリ者として慕われている。しかも、男前で同じ職場で働く警備主任の恋人とは公認の仲だ。 しかし、彼女の心の中は想像すらできない将来への不安や閉塞感でいっぱいなのだ。

世界公園という設定がいい。ここに来れば「世界の名所を知ったも同然」とうそぶくパーク側とは裏腹に、このテーマパークで働く若者の何人が現物の世界の名所をその目で見るというのだ。パークの裏側で長年働く者として、ハリボテの中で生きる虚しさを感じていたタオの所へ、昔の恋人が現れ、モンゴルへ行くと語る。都会で暮らすことと同時に戻れなくなった田舎暮らし。虚像の中で働き、どこにも行けないと思い悩む彼女が焦りを感じ始める。シッカリ者の反面、純粋な心を持つ彼女は現在の恋人との関係にも決め手がなく、結婚という確約がなければ身体を許そうと思わない。タオが欲しいのは、現実を生きているという実感と描きうる将来だ。

こうした見えぬ将来への焦りは、30歳を目前にした頃の私にも身に覚えがある。破綻しそうな年金問題、公務員でもない限り一生懸命仕事しても女一人で食べていける程の給与をもらえない現状。あの頃は伴侶もおらず、漠然とした将来への不安ばかり募っていた。(それは30歳を過ぎて、少し吹っ切れたのだけど…)急激に移り変わっていく中国で女として、一人の人間としての焦りを抱える彼女の想いには共感ひとしきりだ。

タオの心の葛藤を描きつつ、彼女の周囲にいる同年代の生き様や(貧しさゆえに都会で重労働を重ね労災に遭い死ぬ若者、友人の金品を盗む者、母国に見切りをつけ海外へ渡る者)、欧米のカルチャーが彼女たちの生活の中に浸透している状況も描かれる。翻弄の波の果てに、現実を失うことでタオがつかんだ幸福はあまりにも哀しい。【あゆ太郎のおススメ度=90点】

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白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々【Sophie Scholl - Die letzten Tage】

Sophie 2005年/ドイツ/117分/監督:マルク・ローテムント/出演:ユリア・イェンチ/アレクサンダー・ヘルト/ファビアン・ヒンヌリフス/ヨハンナ・ガストドロフ/アンドレ・ヘンニック/フロリアン・シュテッター/ヨハネス・シューム/マキシミリアン・ブリュックナー

 1943年、自滅的ともいえる戦闘を繰り広げ、敗北が濃厚になってきたヒトラー政権末期。ユダヤ人虐殺だけでなく、ドイツ国民の自由をも奪っていた独裁者ヒトラーに対して、非暴力で抵抗運動を行ったドイツ人レジズタンス組織『白バラ』の存在があった。この映画は、、『白バラ』の紅一点だったゾフィー・ショルがむかえた最期の6日間(ヒトラー批判のビラづくり→ビラ配り→逮捕→尋問→拘置→裁判→処刑)を90年代に出てきた新たな資料と制作スタッフの聞き取り調査をもとに事実に忠実に作られた作品だ。あまりの忠実さに研究者が驚いたほど、と言う。

 反ヒトラー運動『白バラ』の主な行動は、6回にわたるビラの作成と配布・郵送、そしてミュンヘン市内の建物に反ヒトラーのスローガンを落書きすること。独裁政権のもと、それがどれだけリスクのあったことか。

 逮捕前夜、兄の恋人であり、友人でもある女友達とラジオから流れる英語の歌を密かに楽しむゾフィー。それは、ごく普通の女子大生の姿だ。

 ゾフィーの父親は町長をしていたが、ヒトラー政権へ批判をした事で投獄され、任をとかれた経験がある。ゾフィーより先にミュンヘン大学に入学していた兄ハンスは医学部だったので、兵役で衛生兵として東部戦線に行き、無駄死にする多くの仲間を目の当たりにしたことが大きな要因となって『白バラ』の活動を始める。ゾフィーが『白バラ』の一員になったのは家族の影響が大きい。

 しかし、彼女はなぜ命をかけてまで、信念を貫き通したのだろう?恋人や友達に恵まれ、音楽や芸術に親しみ、青春を謳歌していた彼女が、どうしてなのだろう?ノンポリのドイツ人と言い通して普通に暮らしていれば、彼女の望みどおりのごく普通の幸せが手に入ったかもしれないのに…。

 逮捕後、ゾフィーは罪を逃れようと画策する。しかし、ゾフィーは尋問を受けるうちに、その純粋さゆえに自分の信念を固めていく。尋問するゲシュタボ将校も表情こそ硬いままだが、次第に彼女の姿勢に心打たれていく。

 逮捕から裁判、刑の執行までたった5日間。しかも、斬首という極刑。いかにナチスが『白バラ』を、真実が露わになるのを恐れたかよくわかる。【あゆ太郎のオススメ度=90店】

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2006年1月31日 (火)

ホテル・ルワンダ【Hotel Rwanda】

Rwanda 2004年/南アフリカ・イギリス・イタリア/122分/監督・脚本:テリー・ジョージ
出演:ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックス、デズモンド・デュベ、ファナ・モコエナ

 世界が見て見ぬふりしている間に、ルワンダで罪もない人間がたった100日で100万人も殺された。それも、ナタのような原始的な凶器で次々と。1994年といえばじゅうぶん現代社会である。ルワンダの四つ星ホテルで支配人を勤めるルセサバギナは内戦が勃発する足音を感じながらも、内戦がおきても「こんな事は長く続く訳がない。世界が自分たちを助けてくれる」と何度も望みを託しながら語る。未開の山林でもなく、メディアも電話も行き届き、四つ星ホテルが存在した地でなぜ、そんな凶行が横行したのか?制度と現場状況のはざ間でジレンマを抱く国連軍もとい、”平和”維持軍の無力さといったら情けない。従事している彼らも本当に情けなかっただろう。(平和が前提の軍なのだ。だけど、平和だったら軍を置く意味はない。ルワンダにおいて平和維持軍はただの矛盾の産物なのだ)ちなみに、ソマリアの内戦でいらぬカウボーイぶりを発揮して、痛い目に遭った後だったアメリカはルワンダの内戦にいっさい介入しなかった。(原油等うま味のない国に興味ないんだろう)

 「ルワンダのシンドラー」と呼ばれるルセサバギナ氏。この映画は、彼がそう呼ばれる存在にならざるを得なかった過程が描かれている。ルワンダの紛争はツチ族とフツ族との民族間同士の争いによるもの。ツチ族の妻を持つフツ族のルセサバギナは、妻や子供に殺戮の手が届かないように自分の地位・コネ・金を駆使する。フツ族の穏健派であり、上層部にコネクションを持ち、影響力がある彼の元に次々と助けを求めて人が集まってくる。「家族を助ける」事が原点だった彼の行動は、人に頼られる事と自分の持ちえる能力を自覚・発揮することで、次々と窮地を逃れていく。遂には、フツ族の将軍相手に大博打を打ってまで出るのだ。以前、「種の起源」?を読んだ時に、命の存亡に遭った種族の種は強くなると書いてあった記憶がある。ルセサバギナ自身は生命と種の存続の闘争を行い、その彼の強さに頼った人々が結果的に生き延びる事が出来たのではないだろうか?シンドラーのように人情・正義感・義務感的なもので人々を守ったのでなく、ルセサバギナはもっと根源的な要因で動いていたと思う。だからこそ、胸を打つのだ。

 ツチ族とフツ族の民族紛争のもとを辿れば、第三国の介入だ。ルワンダは、第一次世界大戦の戦利品としてベルギーに与えられた。ベルギーは、容姿が白人に近いツチ族に優遇措置をとった。第三国が持ち込んだ”差別”が、時を経て大虐殺の歴史を生んだのではないだろうか?だからこそ、「干渉しない」と言い放ち、見てみぬふりをした各国の罪は重い。国連軍は紛争勃発後、兵隊を激減させたのだという。

 それにしても、どの役者の演技もすばらしい。ルセサバギナの妻役ソフィー・オコネドーは特に凄い。ニック・ノルティの無力で情けない平和維持軍の大佐ぶりもいい。それに、チョイ役で出てたので「よく似てる俳優がいるなぁ~」と思っていたら、やっぱりホアキン・フェニックスだったり、”あの”フランスの名優がこっそり重要な役で出ていたり(重い映画なのに、彼が画面に出たとたん試写室に笑いがおきた)と、キャスティングも冴えていえる。

 こんなに素晴らしい映画(昨年のアカデミー賞作品部門にノミネートされている)なのに、日本国内で配給が付かなかったなんて情けない。と同時に、一般市民の署名がもとで国内での劇場公開にこぎ着けた経緯がこの作品らしいし、映画公開の新しいあり方が見えてきて、様々な面において今年屈指の一作になること間違いなし!【あゆ太郎のおススメ度=100点】

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2006年1月25日 (水)

天空の草原のナンサ【the cave of the yellow dog

Nansa 2005年/ドイツ/93分/監督・脚本:ビャンバスレン・ダバー/出演:
ナンサル・バットチュルーン、ウルジンドルジ・バットチュルーン、バヤンドラム・ダラムダッディ・バットチュルーン、ツェレンプンツァグ・イシ、ナンサルマー・バットチュルーン、バトバヤー・バットチュルーン、犬=ツォーホル

 子ども達の表情の豊かさが何ものにもかえがたい。登場する家族は自然の厳しさと日々向き合いながら、豊かな生活を営んでいる。家族を見つめる監督の優しいまなざしも伝わってくる。むちゃくちゃ感動する作品ではない。けれども、何度も何度も繰り返し見たくなる愛おしくて頬ずりしたくなる作品です。

 遊牧民の住居ゲルや衣装の色彩の美しさが日々の生活で得る豊かさを物語っています。こうした豊かな営みの一方で、モンゴルの民主化は、モンゴルの人々の生活と文化を蝕んでいるのかもしれないとも思うのです。先進国と同じような発展の仕方はグローバリズムに巻き込まれているだけ。監督が遊牧民の馬車と選挙を促す政府の車をすれ違うシーンを撮ったのはそうした事への警鐘かもしれない。モンゴルの遊牧民が育んだモンゴル特有の知恵や文化が次の世代にも継承されることを心より願っています。【あゆ太郎のおススメ度=95点】

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2006年1月13日 (金)

歓びを歌にのせて 【As It Is in Heaven】

Yorokobi 2004年/スウェーデン/132分/監督・脚本:ケイ・ポラック/出演:ミカエル・ニュクビスト,フリーダ・ハルグレン,ヘレン・ヒョホルム

今年は映画的に幸先の良い年。それは、頭早々こんなに素晴らしい作品に出会ったから!至福の132分。

 久々に感動で何度も胸がブルブル震え、号泣してしまいました。かつ、どうして自分が映画を大好きになったのか?音楽や映画が人の心にもたらす影響を再確認しました。まるで、砂漠化しつつある現代に忽然と現れた、湧き出る泉のような映画なんです!あまりに素晴らしい映画なのに、映画館のスタッフに話を聞くと北九州でも福岡でも「あまり人が入っていない」と言います。東京では12月の公開後、客足は超好調で未だにロングラン上映中だし、アンケートによる映画鑑賞後の満足度は『ALWAYS 三丁目の奇跡』に次いで2位!映画館で見ないとあの音的感動が味わえないし、もっとたくさんの人に見て欲しい映画です。

★北欧の人々には身近な聖歌隊(音楽)を通じて、ごくごく普通の人々が”生きている”という実感、いや充実感、いや生きる歓びを得ていく過程がすばらしい。そして、個々人が身体の底から発する音がハーモニーを紡いでいく、その音に包まれながら自分もその音の主であると体感する至福感…。今もあの音と映像が目に浮かびます。良い映画はいつも何度も頭の中で反芻してしまうのですが、今、考えると主人公のダニエルはキリストをイメージして人物像を作ったのではないか?と思ったりします。どうなんでしょう?
 物語の中には、本末転倒な布教活動をする神父への批判やドメスティックバイオレンスから立ち上がる女性、「見てみぬふりをする」風潮になってしまった地域の住民に真っすぐ向き合う女性の姿など現代が抱える様々な問題も要所にちりばめられ、それがまたいいし、その処理の仕方が少しずつ尻切れトンボ的なのも映画ファンとして、考える余地を与えさせてくれてウレシイ。とにかく至福の132分!監督やキャストに感謝しつつ、1,800円払ってもお釣りがくる映画です。私はもう一度見に行きますよ!【あゆ太郎のおススメ度=95点】

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